日時 |
1月23日(木) 15時00分〜 (通常と曜日,時間が異なります)
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場所 |
矢上キャンパス14棟733室
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講演者 |
西口 純矢 氏(東北大学)
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講演題目 |
On $M^p$-theory of autonomous linear retarded systems in Banach spaces
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講演要旨 |
未知関数の時間微分が未知関数の過去の情報にも依存する微分方程式を遅延微分方程式と呼ぶ.
1908年の ICM において,Picard が過去と未来を区別できない古典力学の微分方程式の限界とその生物への適用不可能性を論じるなど,
遅延微分方程式の重要性が着実に認識されるようになった一方で,遅延微分方程式は常微分方程式の亜種として見なされる側面があった.
しかし,1960年半ばの J. Hale による遅延関数微分方程式という定式化の導入とその無限次元力学系研究を通じて,
遅延微分方程式は「遅延系」という研究領域として確立し,理論と応用の両観点で今もなお重要な地位を占めている.
このように,遅延系研究には十分な歴史があるが,遅延微分方程式それ自体は「通常の意味での時間発展方程式でない」という点で概念的困難さがある.
これは,遅延微分方程式は「時間発展方程式 = 力学系」という図式へのアンチテーゼであるとも言える.
この講演では,これまでの遅延微分方程式研究を振り返りながら,その困難さを整理する.
具体的には,遅延微分方程式の遅延関数微分方程式としての定式化や,Materials with memory をモチベーションとする無限遅延を含んだ理論の整理を行う.
その後,ここ数年,講演者が行なっている遅延系に対する mild solution の研究の紹介と,その Banach 空間に値を取る方程式への拡張について論じる.
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